瑠璃光-薬師寺ライヴ2001-

さだまさし( 佐田雅志 ) 瑠璃光-薬師寺ライヴ2001-歌詞
1.道化師のソネット

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

笑ってよ 君のために 笑ってよ 僕のために
僕達は小さな舟に 哀しみという荷物を積んで
時の流れを下ってゆく舟人たちのようだね
君のその小さな手には 持ちきれない程の哀しみを
せめて笑顔が救うのなら 僕は道化師になれるよ
笑ってよ 君のために 笑ってよ 僕のために
きっと誰もが 同じ河のほとりを歩いている

僕らは別々の山を それぞれの高さ目指して
息もつかずに登ってゆく 山びと達のようだね
君のその小さな腕に 支えきれない程の哀しみを
せめて笑顔が救うのなら 僕は道化師になろう
笑ってよ 君のために 笑ってよ 僕のために
いつか真実に 笑いながら話せる日がくるから

笑ってよ 君のために 笑ってよ 僕のために
笑ってよ 君のために 笑ってよ 僕のために


2.案山子

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

元気でいるか 街には慣れたか
友達出来たか 寂しかないか お金はあるか
今度いつ帰る

城跡から見下せば 蒼く細い河
橋のたもとに 造り酒屋のレンガ煙突
この町を綿菓子に染め抜いた雪が消えれば
お前がここを出てから初めての春

手紙が無理なら 電話でもいい
「金頼む」の一言でもいい
お前の笑顔を待ちわびる
おふくろに聴かせてやってくれ

元気でいるか 街には慣れたか
友達出来たか 寂しかないか お金はあるか
今度いつ帰る

山の麓煙吐いて列車が走る
凩が雑木林を転げ落ちて来る
銀色の毛布つけた田圃にぽつり
置き去られて雪をかぶった 案山子がひとり

お前も都会の雪景色の中で
丁度 あの案山子の様に
寂しい思いしてはいないか
体をこわしてはいないか

手紙が無理なら 電話でもいい
「金頼む」の一言でもいい
お前の笑顔を待ちわびる
おふくろに聴かせてやってくれ

元気でいるか 街には慣れたか
友達出来たか 寂しかないか お金はあるか
今度いつ帰る

寂しかないか お金はあるか
今度いつ帰る


3.トーク(1)あいさつ


4.無縁坂

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

母がまだ若い頃 僕の手をひいて
この坂を登る度 いつもため息をついた
ため息つけば それで済む
後だけは見ちゃだめと
笑ってた白い手は とてもやわらかだった

運がいいとか 悪いとか
人は時々 口にするけど
そうゆうことって確かにあると
あなたをみててそう思う

忍ぶ 不忍 無縁坂 かみしめる様な
ささやかな 僕の母の人生

いつかしら僕よりも 母は小さくなった
知らぬまに白い手は とても小さくなった
母はすべてを暦に刻んで
流して来たんだろう
悲しさや苦しさは きっとあったはずなのに

運がいいとか 悪いとか
人は時々 口にするけど
めぐる暦は季節の中で
漂い乍ら過ぎてゆく

忍ぶ 不忍 無縁坂 かみしめる様な
ささやかな 僕の母の人生


5.精霊流し

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

去年のあなたの想い出が
テープレコーダーから こぼれています
あなたのためにお友達も
集まってくれました
二人でこさえたおそろいの
浴衣も今夜は一人で着ます
線香花火が見えますか 空の上から

約束通りに あなたの愛した
レコードも一緒に流しましょう
そしてあなたの 舟のあとを
ついてゆきましょう

私の小さな弟が
何にも知らずに はしゃぎまわって
精霊流しが華やかに始まるのです

あの頃あなたがつま弾いた
ギターを私が奏(ひ)いてみました
いつの間にさびついた糸で
くすり指を切りました
あなたの愛した母さんの
今夜の着物は浅黄色
わずかの間に年老いて 寂しそうです

約束通りに あなたの嫌いな
涙は見せずに 過ごしましょう
そして黙って 舟のあとを
ついてゆきましょう

人ごみの中を縫う様に
静かに時間が通り過ぎます
あなたと私の人生をかばうみたいに


6.秋桜

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

淡紅の秋桜が秋の日の
何気ない陽溜まりに揺れている
此頃 涙脆くなった母が
庭先でひとつ咳をする
縁側でアルバムを開いては
私の幼い日の思い出を
何度も同じ話くりかえす
ひとりごとみたいに 小さな声で

こんな小春日和の穏やかな日は
あなたの優しさが浸みて来る
明日嫁ぐ私に 苦労はしても
笑い話に時が変えるよ
心配いらないと 笑った

あれこれと思い出をたどったら
いつの日もひとりではなかったと
今更乍ら わがままな私に
唇かんでいます
明日への荷造りに手を借りて
しばらくは楽し気にいたけれど
突然涙こぼし 元気でと
何度も 何度も くりかえす母
ありがとうの言葉をかみしめながら
生きてみます 私なりに
こんな小春日和の穏やかな日は
もう少しあなたの
子供でいさせてください


7.トーク(2)沈黙の音楽


8.北の国から ~遥かなる大地より~


9.トーク(3)オルゴールの店


10.関白宣言

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

お前を嫁にもらう前に 言っておきたい事がある
かなりきびしい話もするが 俺の本音を聴いておけ
俺より先に寝てはいけない
俺より後に起きてもいけない
めしは上手く作れ いつもきれいでいろ
出来る範囲で構わないから
忘れてくれるな仕事も出来ない男に
家庭を守れるはずなどないってこと
お前にはお前にしか できないこともあるから
それ以外は口出しせず黙って俺についてこい

お前の親と俺の親と どちらも同じだ大切にしろ
姑小姑かしこくこなせ たやすいはずだ愛すればいい
人の陰口言うな聞くな
それからつまらぬシットはするな
俺は浮気はしない たぶんしないと思う
しないんじゃないかな ま、ちょっと覚悟はしておけ
幸福は二人で 育てるもので
どちらかが苦労して つくろうものではないはず
お前は俺の処へ 家を捨てて来るのだから
帰る場所は無いと思え これから俺がお前の家

子供が育って 年をとったら
俺より先に死んではいけない
例えばわずか一日でもいい
俺より早く逝ってはいけない
何もいらない俺の手を握り
涙のしずくふたつ以上こぼせ
お前のお陰でいい人生だったと
俺が言うから必ず言うから
忘れてくれるな 俺の愛する女は
愛する女は 生涯お前ひとり
忘れてくれるな 俺の愛する女は
愛する女は 生涯お前ただ一人


11.トーク(4)~嗚呼修学旅行


12.昨日・京・奈良、飛鳥・明後日。 ~薬師寺奉納公演スペシャル篇


13.最后の頁(ぺーじ)

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

慣れない煙草にむせたと
涙を胡麻化し乍ら
ちゃんとお別れが云えるなんて
君は大人になったね

不思議なもんだね二人
登り坂はゆっくりで
下りる速さときたらまるで
ジェット・コースターみたいだ

※君が「サヨナラ」とマッチの軸で
テーブルに書いたらくがき
僕がはじから火をともせば
ホラ「サヨナラ」が燃えてきれいだ※

前から判ってた事だと
君はそんな振りをして
冷静に過ごそうとしてる
最后の思いやり

不思議なもんだね二人
もう何年か過ぎたら
全く違うレールをきっと
走っているのだろうね

もしも僕達のこのあらすじが
鉛筆書きだったなら
もう一度位ならおそらく
ホラ書き直せたかも知れない

(※くり返し)


14.加速度

作詞:さだまさし
作曲:渡辺俊幸

別れの電話は雨の日の午後
受話器の向うできみは確かに
雨にうたれ声もたてずに泣いていた
「最後のコインが今落ちたから
今迄のすべてがあと3分ね」って
きみはとぎれがちに 小さくつぶやいた

スローモーションで時が倒れてゆく
言葉さえ塞いで
ごらん愛の素顔は 2つの世界の
間で揺れる シーソーゲーム
喜びと……悲しみと……

最後の電話がコトリと切れて
静かに僕の手に残ったものは
発信音と穏やかな雨のさざめき
途絶える直前の君の優しさは
最後に ピリオド打たなかったこと
まるで悲鳴の様に 言いかけた「それから」って

自分の重みに耐え切れず落ちてゆく
ガラス窓のしずく
あたかも二人の加速度の様に
悲しみを集めて
ほらひとつ またひとつ


15.トーク(5)春の奈良


16.惜春


17.つゆのあとさき

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

一人歩きを始める 今日は君の卒業式
僕の扉を開けて すこしだけ泪をちらして

さよならと僕が書いた 卒業証書を抱いて
折からの風に少し 心のかわりに髪揺らして mm…

倖せでしたと一言 ありがとうと一言
僕の掌に指で 君が書いた記念写真

君の細い指先に 不似合いなマニキュア
お化粧はお止しと 思えばいらぬおせっかい

※めぐり逢う時は 花びらの中
ほかの誰よりも きれいだったよ
別れ行く時も 花びらの中
君は最後まで やさしかった※

梅雨のあとさきの トパーズ色の風は
遠ざかる 君のあとを かけぬける

ごめんなさいと一言 わすれないと一言
君は息を止めて 次の言葉を探してた

悲しい仔犬の様に ふるえる瞳をふせた
君に確かな事は もう制服はいらない

(※くり返し)

梅雨のあとさきの トパーズ色の風は
遠ざかる 君のあとを かけぬける

Ah… 梅雨のあとさきの トパーズ色の風は
遠ざかる 君のあとを かけぬける

(※くり返し)


18.療養所(サナトリウム)

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

病室を出てゆくというのに
こんなに心が重いとは思わなかった
きっとそれは
雑居病棟のベージュの壁の隅に居た
あのおばあさんが気がかりなせい

たった今飲んだ薬の数さえ
すぐに忘れてしまう彼女は しかし
夜中に僕の毛布をなおす事だけは
必ず忘れないでくれた

歳と共に誰もが子供に帰ってゆくと
人は云うけれどそれは多分嘘だ
思い通りにとべない心と動かぬ手足
抱きしめて燃え残る夢達

さまざまな人生を抱いた療養所は
やわらかな陽溜りと かなしい静けさの中

病室での話題と云えば
自分の病気の重さと人生の重さ それから
とるに足らない噂話をあの人は
いつも黙って笑顔で聴くばかり

ふた月もの長い間に
彼女を訪れる人が誰もなかった それは事実
けれど人を憐れみや同情で
語れば それは嘘になる

まぎれもなく人生そのものが病室で
僕より先にきっと彼女は出てゆく
幸せ 不幸せ それは別にしても
真実は冷やかに過ぎてゆく

さまざまな人生を抱いた療養所は
やわらかな陽溜りと かなしい静けさの中

たったひとつ僕にも出来る
ほんのささやかな真実がある それは
わずか一人だが 彼女への見舞客に
来週からなれること


19.トーク(6)元気と勇気


20.舞姫

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

一度だけ恋をした そのひとは旅人
何時の日か必ず 帰ると 約束した
たまゆなの浅い夢と 仲間達は笑った
帰らない必ず そのひとはもう帰らないと
その日から舞姫は 踊り続けて待ち続けてる
それ以来誰の声にも 心を揺らさず

余りにも長すぎる 時を待ち続けたが
何一つ彼女は 変わらずに過ごした
ある人は未練と言い ある人は健気と言い
いつかしら彼女は 一途と呼ばれるようになる
どんな日も舞姫は 踊り続けて待ち続けてる
あれ以来誰の声にも 心を移さず

頼まれた訳じゃない 私が好きで待っている
待つことを不幸だと 思うあなたの方が不幸
意地でなく楽しみで待っているとしたなら
私はなんて幸せな人生だろう
私が待っている間は
この恋決して嘘じゃない
待つことを止めたそのとき
恋は死んでしまう
舞姫は 笑って言う
愛した人を嘘つきと
呼ばせはしない この生命懸けて
恋を死なせはしない

「一途」と言う名の舞姫の
踊りを見たことがあるかい
悲しくてすてきで切なくて
人生そのもの

「一途」と言う名の舞姫の
蔭りを見たことがあるかい
悲しくてすてきで切なくて
人生そのもの
ららら ららら ららら


21.まほろば

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

春日山から飛火野辺り
ゆらゆらと影ばかり泥む夕暮れ
馬酔木の森の馬酔木に
たずねたずねた 帰り道

遠い明日しか見えない僕と
足元のぬかるみを気に病む君と
結ぶ手と手の虚ろさに
黙り黙った 別れ道

川の流れは よどむことなく
うたかたの時 押し流してゆく
昨日は昨日 明日は明日
再び戻る今日は無い

例えば君は待つと
黒髪に霜のふる迄
待てると云ったがそれは
まるで宛て名のない手紙

寝ぐらを捜して鳴く鹿の
後を追う黒い鳥鐘の声ひとつ
馬酔の枝に引き結ぶ
行方知れずの懸想文

二人を支える蜘蛛の糸
ゆらゆらと耐えかねてたわむ白糸
君を捨てるか僕が消えるか
いっそ二人で落ちようか

時の流れは まどうことなく
うたかたの夢 押し流してゆく
昨日は昨日 明日は明日
再び戻る今日は無い

例えば此処で死ねると
叫んだ君の言葉は
必ず嘘ではない
けれど必ず本当でもない

日は昇り 日は沈み振り向けば
何もかも移ろい去って
青丹よし平城山の空に満月


22.防人の詩

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

おしえてください
この世に生きとし生けるものの
すべての生命に限りがあるのならば
海は死にますか 山は死にますか
風はどうですか 空もそうですか
おしえてください

私は時折苦しみについて考えます
誰もが等しく抱いた悲しみについて
生きる苦しみと 老いてゆく悲しみと
病いの苦しみと 死にゆく悲しみと
現在の自分と

答えてください
この世のありとあらゆるものの
すべての生命に約束があるのなら
春は死にますか 秋は死にますか
夏が去る様に 冬が来る様に
みんな逝くのですか

わずかな生命のきらめきを信じていいですか
言葉で見えない望みといったものを
去る人があれば 来る人もあって
欠けてゆく月も やがて満ちて来る
なりわいの中で

おしえてください
この世に生きとし生けるものの
すべての生命に限りがあるのならば

海は死にますか 山は死にますか
春は死にますか 秋は死にますか
愛は死にますか 心は死にますか
私の大切な故郷もみんな
逝ってしまいますか

海は死にますか 山は死にますか
春は死にますか 秋は死にますか
愛は死にますか 心は死にますか
私の大切な故郷もみんな
逝ってしまいますか


23.トーク(7)アンコールあいさつ


24.主人公

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

時には 思い出ゆきの
旅行案内書にまかせ
「あの頃」という名の
駅で下りて「昔通り」を歩く
いつもの喫茶には まだ
時の名残りが少し
地下鉄の 駅の前には
「62番」のバス
鈴懸並木の 古い広場と
学生だらけの街
そういえば あなたの服の
模様さえ覚えてる
あなたの眩しい笑顔と
友達の笑い声に
抱かれて私はいつでも
必ずきらめいていた

「或いは」「もしも」だなんて
あなたは嫌ったけど
時を遡る切符があれば
欲しくなる時がある
あそこの別れ道で選びなおせるならって…
勿論 今の私を悲しむつもりはない
確かに自分で選んだ以上精一杯生きる
そうでなきゃ あなたにとても
とてもはずかしいから
あなたは教えてくれた 小さな物語でも
自分の人生の中では 誰もがみな主人公
時折り思い出の中で
あなたは支えてください
私の人生の中では私が主人公だと


25.最期の夢

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

めくるめく恋に夢中だったあの頃
生きることで必死だったそんな頃
悲しくて恥ずかしい日々も
いつかゆるやかに黄昏れてゆく

人は過去を哀しむべきなのだろうか
それとも忘れ去るべきなのだろうか
しあわせや不幸せなんて
自分で決めたら良いものなのに

やがて時が来て もしも
この人生の最期に
たった一つだけ望みの
夢を見させてくれるというなら

私はどんな夢が見たいと
願うのだろうか
もしもその夢で私の生きた
意味が解るとしたら

本当に大事なものは目に見えないから
大切な人も失ってから気づくもの
甘くて美しい季節が
気づいたら過ぎ去っているように

やがて時が来て もしも
この人生の最期に
たった一つだけ過ちを
償わせてくれるというなら

私はなにを償いたいと
願うのだろうか
もしもその事で誰かの心が
救われるとしたら

やがて時が来て もしも
この人生の最期に
たった一つだけ望みの
夢を見させてくれるというなら

あなたの夢が見たいと思う
きっとあなたに会いたいと思う

あなたの夢が見たいと思う
きっとあなたに会いたいと思う